HOMEreading bookThe Tale of Miminashi-Hoichi
声を出して一緒に読んでみましょう
耳なし芳一 Miminashi-Hoichi/日本の物語
成立年:1894年 - 1904年/作者:小泉八雲 (パトリック・ラフカディオ・ハーン)
参考:(福娘童話集きょうの日本昔話・コモンズ紙芝居日記・英語で本三昧)
第5章
その出来事を聞いた和尚さんは、芳一を亡霊から守るために魔除けのまじないをする事にしました。
その魔除けとは、芳一の体中すべてに経文(きょうもん)をかきつけるのです。
「芳一、お前の人並みはずれた芸が、亡霊を呼ぶ事になってしまったようじゃ。
無念の涙をのんで海に沈んでいった、平家一族のな。
よく聞け。
今夜は誰が呼びに来ても、決して口をきいてはならんぞ。
亡霊にしたがった者は、命を取られる。
しっかり座禅(ざぜん)を組んで、身じろぎひとつせぬ事じゃ。
もし返事をしたり声を出せば、お前は今度こそ殺されてしまうじゃろう。
わかったな」
和尚さんはそう言って、村のお通夜に出かけてしまいました。