HOMEreading bookThe Tale of Miminashi-Hoichi

声を出して一緒に読んでみましょう

舌切り雀 Shitakiri suzume/日本の物語   言い伝えによる物語/作者:不明
 参考:(青空文庫)作成 楠山正雄

第6章


おばあさんは重いつづらを首尾よくもらったものの、ただでさえ重いつづらが、背負って歩いて行くうちに・・・どんどん、どんどんと重たくなって、さすがに強情なおばあさんも、足を止めてつづらを降ろすことにしました。
「宝がたくさん入っているのだから仕方がないね。しかし、いったいどんなものが入っているのか、ここでちょいと一休みして、ためしに少し開けてみよう」
独り言を言いながら、急いでふたを開けてみると、
中から目のさめるような金銀小判や、宝珠の玉が出てくるものだと思っていたつづらから、三つ目小僧だの、一つ目小僧だの、がま入道だの、いろいろなお化けがにょろにょろと飛び出してきました。
「この欲ばりばあさんめ!」
お化けたちは、こわい目をしておばあさんを睨みつけるやら、気味の悪い舌を出して顔をなめるやらするので、おばあさんは腰を抜かしてしまいました。


  「たいへんだ、たいへんだ。助(たす)けてくれ。」  とおばあさんは金切(かなき)り声(ごえ)を上(あ)げて、一生懸命(いっしょうけんめい)逃(に)げ出(だ)しました。そしてやっとのことで、半分(はんぶん)死(し)んだようにまっ青(さお)になって、うちの中にかけ込(こ)みますと、おじいさんはびっくりして、 「どうした、どうした。」  と言(い)いました。おばあさんはこれこれの目にあったと話(はな)して、「ああもう、こりごりだ。」と言(い)いますと、おじいさんは気(き)の毒(どく)そうに、 「やれやれ、それはひどい目にあったな。だからあんまりむじひなことをしたり、あんまり欲(よく)ばったりするものではない。」と言(い)いました。

このページのトップへ