HOMEreading bookThe Tale of the Bamboo Cutter

声を出して一緒に読んでみましょう

竹取物語 The Tale of the Bamboo Cutter/日本おとぎ話 
  成立年・作者/不明 

 

第6章


中将は、武士たちを引き連れて内裏(だいり)へ戻り、天人と戦ってかぐや姫を止めることができなかったことを、こまごまと帝に報告しました。
そして薬の壺(つぼ)にお手紙を添えて、帝に差し上げました。
帝は広げてそれをご覧になり、たいへん悲しくなり、お食事も召し上がらず、管弦のお遊びなどもなさらなくなりました。
大臣・上達部を側に呼び、「どの山が一番天に近いか」とお尋ねになりました。すると、ある人が「駿河(するが)の国にある山が、この都からも近く、天にも近いです。」と申し上げました。
帝はこれを聞き、「もう二度とかぐや姫に会うこともできないと思うと、悲しみのあまり涙があふれ、その涙に身も浮いてしまうほどである。不老不死の薬も何の役に立つのか。」
こう言うと、かぐや姫の差し上げた不老不死の薬の壺(つぼ)に手紙をそえました。


そして、使いの者に「つきのいわかさ」という人を選び、駿河(するが)の国にあるという山の頂上にしっかりと運んでいくよう命じました。
そして、その山の頂上ですべき方法をお伝えになりました。
「手紙と不老不死の薬の壺(つぼ)とを並べて、火をつけて燃やしなさい。」
帝はこのように命令をしました。


後に、この山は、帝(みかど)の命令を受けて、たくさんの兵士たちを連れて登ったことから、富士の山(士の富む山)と名付けられました。
そして、不老不死の薬の壺(つぼ)と手紙を燃やした煙は、今でも雲の中へ立ち上っている、と言い伝えられています。

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